デジタル推定復元した伊藤若冲「釈迦十六羅漢図屏風」
幻の名作を現代へ呼び戻す
伊藤若冲の「釈迦十六羅漢図屏風」は、現物が失われたとされる“幻の作品”。その姿を伝えるのは、昭和初期の図録に残された白黒図版だけでした。この一枚の写真を手がかりに、若冲の世界を未来へつなぐべく、デジタル推定復元プロジェクトが立ち上がりました。失われた色彩や質感を蘇らせるという前例の少ない挑戦が、静かに動き出したのです。

白黒から色彩を紡ぐ、学術と技術の探究
復元の第一歩は、白黒図版を高精細に読み解くことから始まりました。筆致や構図の特徴を丹念に分析する中で、「樹花鳥獣図屏風」との技法的なつながりが見えてきます。美術館や大学の調査協力も得ながら、絵具の使い方や枡目描きの特徴を検証。こうした知見をもとに、12万にも及ぶ枡を一つひとつ彩色し、若冲の鮮やかな世界観をデジタル空間に再構築していきました。


デジタルを超える存在感を生む立体表現
完成したデジタル復元を、現実の作品として“立ち上げる”ために用いられたのが、TOPPANの特殊印刷技術です。若冲作品に特徴的な立体的な彩色表現を再現するため、複数の印刷技術を組み合わせ、絵具の膨らみや光による陰影のニュアンスまで細かく調整。こうして仕上がった復元作品は、デジタルと手仕事の境界を超えた存在感をまとい、若冲の創造力を現代に鮮やかに蘇らせました。

